”日本人としての個性を

存分に発揮できる音楽を表現したい。

それを世界に発信したい ”

山地真美さんとは2019年6月、偶然参加したイベントで出会った。参加者の写真を見て即興で音楽をつけてもらうという時間が設けられ、偶然にもわたしの写真が選ばれた。大きくスクリーンに映し出された写真とピアノの音を聞いた時、大きな衝撃が走った。山地真美の音楽性の豊かさがその3分足らずの楽曲に凝縮されていた。一気に泣き出しそうな心を感じながら、心の奥底に眠っている情熱に明かりを灯してくれたような感覚だった。静止画であるはずの写真が、ゆらゆら動いているように見えた時、まさに音楽と写真の化学反応が起きたように思えた。そのときいつか、彼女とコラボしてみたいと強く思った。そのチャンスは意外にも早く訪れ、半年後コラボイベントが実現した。その日彼女は即興で、1日20曲をつくった。彼女のそのバイタリティと情熱はどこにあるのか、ルーツを探るべくインタビューさせてもらった。

−音楽をはじめたきっかけは? 

4歳ぐらいからピアノを習いはじめました。でもそれ以前から、鍵盤ハーモニカを離さない子供だったそうです。わたしの場合はごくごく普通の習い事とし弾いていました。すごくピアノ音楽が大好きで、初めて買ったCDはショパンの子犬のワルツ。高校受験の時も、大学受験の時もその都度専門コースへ進むか迷っていました。でも踏み出す勇気がなかったんですね。それで、岡山大学の法学部に進んだのですが、卒業する時に、やっぱり音楽の道に進みたいと思って、東京の専門学校に通うことにしました。

−それは1冊の本がきっかけだったとか?

就職活動をしている時に、やっぱり音楽の仕事がしたいなという気持が膨らんでいたのですが、大阪でバスの時間を待つのに偶然立ち寄った本屋で1冊の本に出会ったんです。癒しをテーマに音楽のことを科学的に分析している本でした。それを読んで、音楽はエンターテイメントの部分とそれ以外にも何か可能性があるのではないかな?と思いました。その本が、音楽の道に進むきっかけというか、背中を押してくれました。

−東京行きは順調でした?

やっぱり家族の反対があってそれが一番の高い山でした。1年ぐらい家の中で誰ともしゃべらない期間があったんですけど(笑)、とにかく認めてもらいたいという気持ちで、バイトをしながら、ピアノのコンクールに積極的に挑戦しました。それで最終的には応援してもらえるようになりましたね。

—いつぐらいから、作曲するようになったのですか?

専門学校では、クラシック音楽をいかに上手に弾けるようになるかというのが目的だったのですが、わたしはそこがゴールではないと思っていました。ロシアに留学した時に、音楽を好きなように表現すると、それはふわさわしくないとか、日本人っぽい表現だと言われることに、とても疑問を感じていました。わたしはこれからも、日本人であり続けるのに日本人としての表現ができないのはおかしいと思いました。むしろ日本人としての個性を存分に発揮できる音楽を表現したいって。それで自分で曲を作ってみようと思ったんです。作曲家と、演奏家は別であることが多いのですが、わたしはそのどちらもしたいと思いました。

−東京での作曲活動や、コンサート活動はいかがでしたか?

そのころはとてもガムシャラで、3ヶ月に1度は企画コンサートをしていましたね。自分が見てきた情景とか、感動した瞬間が曲として形となり、それを並べて見た時に、ふるさとの岡山の曲がたくさん出来ていました。東京で、岡山の魅力を発信することがわたしの強みだなと思っていたし、そのときから、人と違うことをしたくて、第1回目から映像を見せながら演奏をしました。

−映像と音楽、いいですね。お客さんにはどんな風に楽しんでもらいたいですか?

視覚、聴覚だけでなく、五感で感じて欲しいと思っています。例えば、普段から音楽を奏でる時に、場所、気温、匂いを音楽から感じとって欲しいという思いがあるのですが、映像を見る事によってさらに深く体験してもらいたいです。私自身も、見ている人にとっても新しい発見になるのではないかなと思って、積極的に他分野の芸術とコラボレートしていきたいと思っています。

−「浮世音プロジェクト」に挑戦されているとか?

「日本の魅力を音楽で世界や未来に発信する」という目標を掲げ、各地の美しい情景や歴史ある場所で感じたものをピアノで表現して、その演奏風景を映像におさめて発信しています。2020年の8月の東京オリンピックまでに100本を目指しています。

−全ての方に聞いている質問です。夢、自由、家族、表現の中からひとつ言葉を選ぶとしたら?

「自由」ですね。わたしの生き方にとって、自由ってすごく大事なテーマで、いつどこにでも住めるような自由さがあってもいいかなと思っていて、スケジュールも先まであまり決めたくないんです(笑)

—それって、曲も即興で作るに似ているところがありますね。曲の構成は決めない!

そうですね(笑)自由が好きですね。今はピアノで自由に自己表現しています。自分の人生にとって「自由」はキーワードですね。

—最後に山地さんにとって音楽を一言で表すなら?

「繋ぐもの」かな?地域と世界を繋ぐもの、人と人を繋ぐもの、過去と現在、未来を繋ぐもの。いろいろな意味があります。もし言語がなくなったとしても、どんな未来になったとしても、音楽は心を繋ぐツールになるなって思います。

やわらかな雰囲気の外見の中に凛とした芯の強さを感じさせる。艶やかで力強い彼女のピアノはいつも頭の中に映像が浮かぶ唯一無二の音楽を響かせる。そしてその目はたったひとつの真実をまっすぐに見据えていて、とても強い意思を感じた。

<山地真美プロフィール>

山地真美

岡山岡山県立岡山朝日高等学校卒業。
岡山大学法学部法学科卒業。
おかやま観光特使
第1回福武教育文化賞受賞
おかやまアワード2018特別音楽賞受賞
イブラグランドプライズ作曲家部門名誉賞
日本100箇所の「浮世音」作品制作に挑戦中
G20会合(岡山)歓迎レセプションにて演奏
瀬戸内国際芸術祭2019 宇野港オープニング担当
イタリア・アメリカ・コスタリカ・中国で海外公演
山地真美との100人オケ! 運営
NHK岡山「いにしえピアノ」メイン出演中
KSBスーパーJチャンネル メインテーマ曲担当中
渋谷PARCO内 Discover Japan Lab.(1F)にて浮世音上映、及び店舗音楽担当中

公式ホームページ https://yamajimami.com

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